労働者災害補償保険法
《目次》
●給付基礎日額(法8条)…4問
●休業給付基礎日額(8条の2)…6問
●年金給付基礎日額(8条の3)…2問
●一時金の給付基礎日額(8条の4)…3問
●給付基礎日額の端数処理(8条の5)…2問
【問題】給付基礎日額は、労働基準法第12条の平均賃金に相当する額とされ、この場合において、同条第1項の平均賃金を算定すべき事由の発生した日は、業務災害及び通勤災害による負傷若しくは死亡の原因である事故が発生した日又は業務災害及び通勤災害による疾病の発生が診断によって確定した日である。
(平成21年 問2A)
【解答】○
【解説】(法8条1項)
■設問のとおり正しい。
    ■給付基礎日額を算定すべき事由の発生した日⇒
    ①業務上の事由又は通勤による負傷若しくは死亡の原因である事故が発生した日又は
    ②診断によって疾病の発生が確定した日(算定事由発生日)
【問題】労災保険法による保険給付(療養補償給付及び療養給付並びに二次健康診断等給付を除く)の額の算定には、原則として、労働基準法第12条の平均賃金に相当する額の給付基礎日額を用いるが、年金たる保険給付(療養開始後1年6か月を経過した日以後の休業補償給付又は休業給付を含む。)については、厚生労働大臣が、厚生労働省令で定める年齢階層ごとに、毎年の賃金構造基本統計における常用労働者の平均賃金月額を基準として定める給付基礎年額を用いる。
(平成15年 問1A)
【解答】×
    【解説】(法8条、法8条の2、法8条の3、法19条の2、則18条の3の4)
    ■設問は2箇所誤り。
    ・給付基礎年額(労災保険法に規定なし)という用語なし。
    ・介護(補償)給付⇒保険給付の算定に給付基礎日額を用いない。
■年金たる保険給付(療養開始後1年6か月を経過した日以後の休業(補償)給付を含む)の額の算定⇒給付基礎日額を用いる。
【問題】労働基準法第12条の平均賃金に相当する額を給付基礎日額とすることが適当でないと認められるときは、厚生労働省令で定めるところによって所轄労働基準監督署長が算定する額を給付基礎日額とする。
(平成21年 問2B)
【解答】○
    【解説】
    (法8条2項、則9条1項)
    ■設問のとおり正しい。
【問題】給付基礎日額は、労働基準法第12条の平均賃金に相当する額とされているが、この場合において、同条第1項の平均賃金を算定すべき事由の発生した日は、業務上の事由又は通勤による負傷、疾病、障害若しくは死亡の原因である事故の発生した日とされる。
(平成19年 問2A)
    【解答】×
    【解説】(法8条1項)
    『給付基礎日額=労働基準法12条の平均賃金に相当する額。』で前半は正解。
    後半の『平均賃金を算定すべき事由の発生した日』
    ●業務上の事由又は通勤による負傷若しくは死亡の原因である事故が発生した日又は
    ●診断によって疾病の発生が確定した日(算定事由発生日)
    ということで、『疾病』については事故の発生した日ではなく、診断によって疾病の発生が確定した日。
    【問題】休業補償給付又は休業給付(以下この問において「休業補償給付等」という。)の額の算定に用いられる給付基礎日額には、原則として、労働基準法第12条の平均賃金に相当する額が用いられるが、休業補償給付等を支給すべき事由が生じた日が当該休業補償給付等に係る療養を開始した日から起算して1年6か月を経過した日以後の日である場合において、四半期(1~3月、4~6月、7~9月、10~12月)ごとの毎月勤労統計における労働者1人当たりの平均給与額が休業補償給付等の算定事由発生日の属する四半期の平均給与額(「毎月きまって支給する給与」の1か月平均額)の100分の110を超え、又は100分の90を下るに至ったときは、その上昇し、又は低下するに至った四半期の翌々四半期の初日以後に支給事由が生じた休業補償給付等については、その上下した数値を労働基準法第12条の平均賃金に相当する額に乗じてスライドさせた額が給付基礎日額として用いられる。
    (平成19年 問2B)
    【解答】×
    【解説】(法8条の2第1項)
    ■休業給付基礎日額についてスライド制が適用されるのは⇒四半期ごとの平均給与額が、10%を超えて変動した場合におけるその変動した四半期の翌々四半期の最初の日から。
    ■休業補償給付等に係る療養を開始した日から起算して1年6か月を経過した日以後の日に限らない。
    ■「上下した数値を労働基準法第12条の平均賃金に相当する額に乗じてスライドさせた額が給付基礎日額として用いられる」⇒「労働基準法12条の平均賃金に相当する額に厚生労働大臣が定める率を乗じることによって行われる。」
    ■休業補償給付等に係る療養を開始した日から起算して1年6か月を経過した日以後の日からは⇒年齢階層ごとの最低限度額・最高限度額が適用。
    【問題】療養の開始後1年6か月を経過した後の休業補償給付又は休業給付の算定の基礎として用いる休業給付基礎日額と年金たる保険給付の算定の基礎として用いる年金給付基礎日額とは、年齢階層別の最低限度額及び最高限度額が同じである。
    (平成16年 問5E)
    【解答】○
    【解説】(法8条の2第2項、法8条の3第2項)
    ■年齢階層別の最低最高限度額の適用⇒
    ・休業給付基礎日額⇒療養開始後1年6か月を経過したときから
    ・年金給付基礎日額⇒支給開始時から
    ■判断に用いる年齢⇒
    ・休業給付基礎日額は「四半期の初日における年齢」
    ・年金給付基礎日額は「毎年8月1日における年齢」
【問題】休業補償給付又は休業給付の額の算定の基礎として用いる給付基礎日額は、四半期(1~3月、4~6月、7~9月、10~12月)ごとの毎月勤労統計における労働者1人当たり平均給与額が100分の110を超え、又は100分の90を下るに至った場合には、その上昇し、又は低下した四半期の次の四半期から、その上昇し、又は低下した比率を乗じてスライドされた額となる。
(平成15年 問1C)
【解答】×
【解説】(法8条の2第1項2号)
■「低下した四半期の次の四半期」⇒「低下した四半期の翌々月の四半期」にすれば正しい。
【問題】休業補償給付又は休業給付(以下この問において「休業補償給付等」という。)の額の算定に用いられる給付基礎日額には、原則として、労働基準法第12条の平均賃金に相当する額が用いられるが、休業補償給付等を支給すべき事由が生じた日が当該休業補償給付等に係る療養を開始した日から起算して1年6か月を経過した日以後の日である場合において、四半期(1~3月、4~6月、7~9月、10~12月)ごとの毎月勤労統計における労働者1人当たりの平均給与額が休業補償給付等の算定事由発生日の属する四半期の平均給与額(「毎月きまって支給する給与」の1か月平均額)の100分の110を超え、又は100分の90を下るに至ったときは、その上昇し、又は低下するに至った四半期の翌々四半期の初日以後に支給事由が生じた休業補償給付等については、その上下した数値を労働基準法第12条の平均賃金に相当する額に乗じてスライドさせた額が給付基礎日額として用いられる。
(平成19年 問1B)
【解答】×
    【解説】(法8条の2第1項)
    ■休業補償給付等の支給が長期に及んだ場合⇒
    ・賃金水準の変動に応じて実質的な価値を維持するためにスライド制が適用
    ・また年齢に応じた所得補償を行うために年齢階層ごとの最低限度額・最高限度額が適用
    スライド制については、⇒四半期ごとの平均給与額が、算定事由発生日の属する四半期(すでにスライドされた休業給付基礎日額が適用されているときは、スライド改定された四半期の前々四半期)の平均給与額の100分の110を超え、又は100分の90を下るに至った場合
    ⇒その上昇し、又は低下するに至った四半期の翌々四半期に属する最初の日より労働基準法12条の平均賃金に相当する額に厚生労働大臣が定める率を乗じることによって行われる。
    設問では、2箇所誤り。
    ・スライド制が適用されるのが「休業補償給付等に係る療養を開始した日から起算して1年6か月を経過した日以後の日」
    ・「上下した数値を労働基準法第12条の平均賃金に相当する額に乗じてスライドさせた額が給付基礎日額として用いられる」
    ■休業補償給付等に係る療養を開始した日から起算して1年6か月を経過した日以後の日⇒年齢階層別の最低限度額・最高限度額が適用。
    ■スライド制適用後に年齢階層ごとの最低限度額・最高限度額が適用
【問題】給付基礎日額は、労働基準法第12条の平均賃金に相当する額とされているが、この平均賃金相当額を給付基礎日額とすることが適当でないと認められるときは、厚生労働省令で定めるところによって所轄労働基準監督署長が算定する額が給付基礎日額とされる。
    (平成15年 問1B)
    【解答】○
    【解説】(法8条2項、則9条1項)
    ■労働基準法第12条の平均賃金に相当する額を給付基礎日額とすることが適当でないと認められる場合⇒厚生労働省令で定めるところによって所轄労働基準監督署長が算定する額を給付基礎日額とする。
    ①業務外の事由による負傷又は疾病の療養のために休業した期間ある者
    ⇒3か月間の総日数及び3か月間の賃金総額から私傷病により休業した期間及びその期間中の賃金を除いて計算した平均賃金相当額と原則どおり計算した平均賃金相当額を比べてより高い方を給付基礎日額とする。
    ②じん肺かかったことにより保険給付を受けることになった労働者
    ⇒じん肺にかかったために粉じん作業以外の作業に常時従事することになった日を算定事由発生日とみなして計算した平均賃金相当額と原則どおりの算定事由発生日から計算した平均賃金相当額を比べてより高い方を給付基礎日額とする。
    ③上記1又は2のほか平均賃金に相当する額を給付基礎日額とすることが適当でないと認められる場合
    ⇒厚生労働省労働基準局長が定める基準に従って算定する額とする。
    ④平均賃金相当額が自動変更対象額に満たない場合
    ⇒自動変更対象額を給付基礎日額とする。
    【問題】給付基礎日額については、厚生労働省令で定める年齢階層ごとに厚生労働大臣が最低限度額又は最高限度額を定めており、休業補償給付等又は年金たる保険給付を支給すべき事由が生じた時期にかかわらず、その額の算定に用いられる給付基礎日額が当該最低限度額に満たず、又は当該最高限度額を超える場合には、この最低限度額又は最高限度額が当該休業補償給付等又は年金たる保険給付の額の算定基礎として用いるべき給付基礎日額となる。
    (平成19年 問2D)
    【解答】×
    【解説】
    (法8条の2第2項、法8条の3第2項)
    ■「休業補償給付等又は年金たる保険給付を支給すべき事由が生じた時期にかかわらず」の箇所が誤り。
    ■年金給付基礎日額⇒支給事由の生じた最初の月から年齢階層ごとの最低限度額・最高限度額が適用。
    ■休業給付基礎日額⇒休業補償給付等に係る療養を開始した日から起算して1年6か月を経過した日以後の日から年齢階層ごとの最低限度額・最高限度額が適用。
    ■適用される年齢の時期
    ・休業給付基礎日額⇒「被災した労働者の四半期の初日における年齢」で判断
    ・年金給付基礎日額は「被災した労働者の8月1日における年齢」で判断
    【問題】年金たる保険給付の額の算定に用いられる給付基礎日額には、原則として、労働基準法第12条の平均賃金に相当する額が用いられるが、
    毎月勤労統計における労働者1人当たりの平均給与額が給付基礎日額の算定事由発生日の属する年度(4月から翌年3月まで)における平均給与額の100分の110を超え、又は100分の90を下るに至った場合は、その上下した比率を基準として厚生労働大臣が定める率を労働基準法第12条の平均賃金に相当する額に乗じてスライドさせた額が、算定事由発生日の属する年度の翌々年度の8月以降の給付基礎日額として用いられる。
    (平成19年 問2C)
    【解答】×
    【解説】(法8条の3第1項)
    ■年金給付基礎日額に適用されるスライド制⇒平均給与額の少しの変動でも改定される完全自動賃金スライド制。
    ■「平均給与額の100分の110を超え、又は100分の90を下るに至った場合は、その上下した比率を基準として厚生労働大臣が定める率を労働基準法第12条の平均賃金に相当する額に乗じてスライド」の箇所が誤り。
【問題】障害補償一時金若しくは障害一時金又は遺族補償一時金若しくは遺族一時金の額の算定の基礎として用いる給付基礎日額は、当該一時金を受ける権利が療養開始後1年6か月を経過するまでの間に生じたものであるときは、その期間内に係る休業給付基礎日額により、当該権利が療養開始後1年6か月を経過した日以後の日に生じたものであるときは、療養開始後1年6か月を経過した日以後の日に係る休業給付基礎日額による。
    (平成16年 問6E)
    【解答】×
    【解説】(法8条の3第1項、法8条の4)
    一時金給付基礎日額の算定⇒保険給付の受給権の発生時期に関係なく、年金給付基礎日額に準じて算定される。
    問題文では、「休業給付基礎日額」に準じて算定するとしているので誤り。
    【問題】障害補償一時金若しくは障害一時金又は遺族補償一時金若しくは遺族一時金の額の算定に用いる給付基礎日額のスライドは、年金たる保険給付の額の算定に用いる給付基礎日額のスライドに準ずる。
    (平成19年 問2E)
    【解答】○
    【解説】(法8条の4)
    ■設問のとおり正しい。
    ■一時金の給付基礎日額の算定に用いるスライド制は、年金給付基礎日額と同様の方法で算定される。
    ■一時金の給付基礎日額については、年齢階層ごとの最低限度額・最高限度額が適用されない。
【問題】障害補償一時金若しくは遺族補償一時金又は障害一時金若しくは遺族一時金の額の算定に用いる給付基礎日額のスライドは、休業補償給付又は休業給付の額の算定に用いる給付基礎日額のスライドに準ずる。
(平成15年 問1D)
【解答】×
    【解説】(法8条の4)
    ■一時金給付基礎日額については⇒年金給付基礎日額に準じてスライドが適用。
    ■年金給付基礎日額⇒完全自動賃金スライド制が適用。
    算定事由発生日の属する年度と比べて平均給与額に変動があった場合は、算定事由発生日の属する年度の翌々年度の8月以降に改定。
    ■一時金給付基礎日額⇒年齢階層別の最低限度額及び最高限度額の適用なし。
    【問題】給付基礎日額のうち、①年金給付の額の算定の基礎として用いるもの、②療養開始後1年6か月を経過した日以後に支給事由が生じた休業補償給付又は休業給付の額の算定の基礎として用いるもの、③障害補償一時金若しくは障害一時金又は遺族補償一時金若しくは遺族一時金の額の算定の基礎として用いるものについては、所定の年齢階層ごとの最高限度額及び最低限度額が設定されている。
    (平成21年 問2D)
    【解答】×
    【解説】(法8条の2第2項、法8条の3第2項、法8条の4)
    ■一時金給付基礎日額には、年齢階層別の最低限度額及び最高限度額の適用がないので誤り
【問題】給付基礎日額に1円未満の端数があるときは、それが1円に切り上げられる。
(平成21年 問2C)
【解答】○
    【解説】(法8条の5)
    ■給付基礎日額に1円未満の端数があるとき⇒1円に切り上げる。
【問題】給付基礎日額に1円未満の端数があるときは、これを切り捨てるものとする。
(平成15年 問1E)
    【解答】×
    【解説】(法8条の5)
    ■給付基礎日額に1円未満の端数があるとき⇒これを1円に切り上げる。