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テーマ:定額残業代の捉え方 【過去問1問1答 ワンポイント解説 労働基準法】問題 R1-6D

 

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絶対合格 2025年 8/31

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皆さん、こんにちは。

みんなの社労士合格塾です。

 

テーマ:定額残業代の捉え方

 

【過去問1問1答 ワンポイント解説 労働基準法】

問題 R-D

「いわゆる定額残業代の支払を法定の時間外手当の全部又は一部の支払とみなすことができるのは、定額残業代を上回る金額の時間外手当が法律上発生した場合にその事実を労働者が認識して直ちに支払を請求することができる仕組み(発生していない場合にはそのことを労働者が認識することができる仕組み)が備わっており、これらの仕組みが雇用主により誠実に実行されているほか、基本給と定額残業代の金額のバランスが適切であり、その他法定の時間外手当の不払や長時間労働による健康状態の悪化など労働者の福祉を損なう出来事の温床となる要因がない場合に限られる。」とするのが、最高裁判所の判例である。

解答:誤り

R1年-6Dは、難問です。

ほとんどの受験生は、この問題の正誤の判断は困難です。

問題を解く優先順位としては、問6のD以外の肢の正誤を確認してから、最後に確認する問題です。

比較的D以外の肢は、容易な内容です。

 

-ポイント-

(1)日本ケミカル事件(最判平成30719日)からの出題です。

 

(2)事件の概要

薬剤師として勤務していた労働者が、会社から支給された「業務手当(定額残業代)」は法定労働時間を超えた時間外労働の対価(定額残業代)とはみなせないと主張。会社に対し、労基法 37 条に基づく時間外・深夜労働の割増賃金等の支払いを求めた事件

 

(3)判決…会社側勝訴

本件では、雇用契約書や賃金規定等に、月々支払われる所定賃金のうち業務手当(定額残業代)が時間外労働に対する対価として支払われる旨が記載されていた等から、本件は、業務手当は時間外労働に対する対価であり定額残業代として有効とされた。

 

(4)問題文の「いわゆる定額残業代の支払~出来事の温床となる要因がない場合に限られる。」の判決内容(原審)は、最高裁判所の判例ではなく、1つ前の高等裁判所の判決内容になります。

 

最高裁判所では、高等裁判所の判断を覆し(無効と判断)、「定額残業の判断(下記1~3だけに限定しない。)に限定しない。」としています。

 

時間外労働に対する対価と認められるか否かについては、(従来までの解釈)

1.雇用契約書等の記載内容

2.具体的な事案に応じた当該手当や割増賃金に関する説明の内容

3.実際の労働時間等の勤務状況などの事情を総合考慮して判断すべきである。

 

 

従来の判例であれば、高裁の判断(問題文そのもの)が一般的な判断。

今回の日本ケミカル事件で、従来の労働者側の主張にブレーキがかかった判決になっています。

 

 

 

 

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